ネットワークをシンプルに考える。

宇宙、芸術、情報技術、哲学など。

『情報ネットワーク概論』1.情報ネットワークの歴史と技術

※本内容は、『情報ネットワーク概論-ネットワークとセキュリティの技術とその理論-』(2014年、井関文一他著、コロナ社)に記載された内容をまとめたものである。部分的に補足やリンクをしているが、極力著書の内容を損なわないように努めている。

 

1.1 現状のネットワーク

現状のネットワークは大きく三つに分類できる。

1)インターネット:コンピュータ通信

2)固定通信ネットワーク:電話通信

3)移動通信ネットワーク:携帯電話

現在、各種ネットワークは相互に融合し、その境界が実感できなくなりつつある。

しかし、これらは異なる目的と物理的な設備を背景として成立していることを理解しておく必要がある。

 

〔1〕インターネット

インターネット基盤は、1969年の軍事研究用分散型ネットワークとして発案されたARPANET(Advanced reserch projects agency network)がその起源であるといってよい。その普及は1990年台なかばからWindowsコンピュータの広がりとともに、複数のコンピュータを通信回線で接続しデータを交換するコンピュータネットワークとして広がった。しかしインターネットには本来的な想定と実際の利用状況がことなることから、以下の問題を含むようになった。

本来の目的:仲間同士の情報交換=性善説に基づく

実際の利用:不特定多数の情報交換=性悪説に基づく(に基づいた設計とすべき)

※セキュリティ上の課題は、インターネットの起源と密接に関わっているのである。

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fig01. 分散型ネットワークの構想『On Distributed Communications Networks.』(Paul Baran

 

〔2〕固定通信ネットワーク

1876年にベル(Alexander Graham Bell)が電話を発明して依頼、100年以上もの時間をかけて電話中心の固定通信ネットワークが構築されてきた。

固定通信ネットワークは、有線通信技術(物理的な通信ケーブルで通信機器とネットワーク機器を相互に接続する構造)がその各種特性を定義するものである。

現在、携帯端末の増加により、固定電話の利用は減少を続けている。そのため、固定通信ネットワークは度重なる議論の末、IP技術を基盤とした新しい電話網NGN(Next Generation network)を推進することが決定している。

〔3〕移動通信ネットワーク

自動車電話から始まった携帯電話を主とする移動通信ネットワークは、1990年代から急速に広がりを見せ、現在固定通信ネットワークをユーザ数で越えている。

平成26年度版情報通信白書』によれば、固定通信ユーザは年々減少を続け、平成26年度で2800万人強であるのに対し、移動通信ユーザは1500万人強とすでに5倍以上の差が生じている。

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fig02. 電気通信サービスの契約数の推移『平成27年度版 情報通信白書』(総務省

移動通信ネットワークは主として、無線通信技術(電波伝送技術)が各種付随する特性を定義するものである。

 1980年代の第1世代から始まった移動通信ネットワークは、1990年代に第2世代、2000年以降は第2世代として継続的に発展してきた。今後も第4世代、第5世代と進展することが期待されているネットワークだ。

 

 本章では、以上の三つのネットワークの歴史、技術について説明するものとする。